「下町ロケット」や「鉄の男」などベストセラー小説を生み出した池井戸潤原作のドラマ「陸王」
足袋づくりの老舗がランニングシューズ開発に取り組む姿は、多くの人の反響を呼んでいます。
また、ドラマ中のリアルな人間ドラマは、まるでノンフィクション(史実や記録に基づいてること)作品のように思えます。
そこで、「陸王」のモデルになった会社、ランナーはいるのか調査してみました。
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この記事のもくじ
陸王|モデルの存在をまさかの否定
リアルな人間ドラマが描かれた陸王は、モデルになった会社や人物がいるのではと思わせます。
ところが、原作者の池井戸潤はモデルは存在しないことを発表しました。
念のためのお知らせですが、池井戸の小説「陸王」は、完全なフィクションであり、既存の会社・組織・人物、および製品のモデルはありません。どうぞ誤解されませんようよろしくお願いいたします。#陸王
— オフィスIKEIDO (@officeikeido) 2017年10月9日
モデル会社や製品があると期待した人にとって、残念なお知らせとなりました。
しかし、調べていくとモデル会社らしき会社や製品、人物が浮き彫りになってきました。
陸王|こはぜ屋のモデル会社とは?
ドラマに登場した老舗足袋店「こはぜ屋」は、「きねや足袋株式会社」をモデル会社にした可能性が高まりました。
なぜなら、モデル会社と言わざるをえないポイントが6つもあるためです。
~「きねや足袋」がモデル会社と言われる6つのポイント~
- こはぜ屋と同じ埼玉県行田市に存在する
- きねや足袋は、90年近く続く老舗である
- 従業員35名の小規模企業
- こはぜ屋も使用する「ドイツ式八方つま縫いミシン」で作業
- 2012年 池井戸潤が取材に訪れてる
- 2013年 ランニング足袋「きねや無敵」を発売
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モデル会社と言われた「きねや足袋」はどんな企業か
「こはぜ屋」のモデル会社と言われた「きねや足袋」は、老舗足袋店として有名です。
「きねや足袋」は、ドラマ中でも足袋の町として紹介された埼玉県行田市に会社を構えており、一般的な「白足袋」から「ランニング足袋」、果てには本革製バングルまで手がけてます。
~「きねや足袋」の歴史~
- 1929年 初代社長が足袋づくりをスタート
- 1952年 高級足袋の仕立てをスタート、同時に静岡県伊豆市まで販路を拡大
- 1964年 ゴム底足袋の製造をスタート
- 1990年 二代目社長が就任
- 2006年 足袋づくりが体感できる「足袋の館」を開館
- 2013年 ランニング足袋「きねや無敵」を発売
創業から90年近く経過し、足袋づくりの技術を応用してランニング足袋まで手がけてる様子は、まさしくドラマの「こはぜ屋」と瓜二つと言えるでしょう。
モデル会社とされる「きねや足袋株式会社」が気になった人はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
事前予約すれば、足袋づくりが体感できる「足袋の館」を見学できるようです。
~きねや足袋株式会社~
- 住所 埼玉県行田市佐間1-28-49
- 営業時間 9:00~12:00/13:00~17:00 (月,土,日,祝日は除く)
- 電話 048-556-6361
- メール info@kineyatabi.co.jp
※見学の時は、必ず事前に電話かメールで問い合わせをすること。
「こはぜ屋」のモデル会社が「きねや足袋」と決定しかけたところ、意外な情報が入ってきました。
それは、「こはぜ屋」の本当のモデル会社は、アシックスの可能性が出てきたのです!
こはぜ屋のモデルはアシックスか?
アシックスの歴史をヒモ解くと「こはぜ屋」のモデルである可能性が高まりました。
~アシックスの歴史~
- 1949年 鬼塚喜八郎がアシックスの前身である「オニツカ」を設立
- 1953年 マラソンシューズ開発をスタート
- 1959年 今後20年以上ランナーに愛用される「マジックランナー」を開発(マラソン足袋の時代が終わる)
- 1967年 くつ職人・三村仁司(陸王 村野のモデル)がアシックス入社
三村仁司はランニングシューズのアッパーとソール部分を新開発し、革命をもたらした。- 1984年 三村仁司は瀬古利彦(茂木くんモデル)に新しいシューズを提供
このような、アシックスがランニングシューズを開発した経緯と、ドラマ陸王の「こはぜ屋」を重ね合わせると、アシックスが陸王のモデルと言っても過言ではないでしょう。
つまり、「アシックス」をモデル会社にして「きねや足袋」を織り交ぜた会社がドラマ陸王の「こはぜ屋」と言えるのではないでしょうか。
あのドラマの描写は本当にあった?
ドラマ「陸王」を見てると、いくつか気になる描写があったと思います。
~ドラマで気になる描写~
- こはぜ屋に融資を渋った埼玉中央銀行は存在するのか?
- ランナー・茂木くん(竹内涼真)のモデルはいるのか?
- シルクレイソールは存在するのか?
- 大手ライバル会社アトランティスのモデルはどこか?
- ドラマ中の足袋とランニングシューズはどこが製作した?
以上の4つの描写は、本当にあったのか調べてみました。
融資を渋った埼玉中央銀行は存在するのか?
調べてみたところ、モデル会社とされる「きねや足袋株式会社」と取引してる埼玉県の銀行が2社ありました。
どちらの銀行も埼玉県では有名だと思いますが、ドラマ陸王のモデルとされればイメージダウンに繋がりかねないので、あえて銀行名は伏せさせていただきます。
しかし、銀行側としては企業に融資することが利益につながるため、先行き不透明な会社に”先走る思い”だけで融資するほど甘くないのが現実でしょう。
だとしても、ドラマに登場した銀行員・坂本くん(風間俊介)のように、まっすぐな銀行員は必ずいるでしょうね。
それと同時に、しゃくし定規のような銀行員・大橋浩(馬場徹)もいるでしょう。
まるで車のアクセルとブレーキのように相反する2つのバランスが取れてるからこそ、銀行が融資で利益を上げられると言えるでしょう。
ランナー・茂木くん(竹内涼真)のモデルは実在する?
原作小説では、マラソン足袋「陸王」と出合って再起する茂木くんですが、そのモデルは元五輪ランナーの瀬古利彦と言われてます。
元五輪ランナーだった瀬古利彦が茂木くんのモデルだったと言われる理由が5つあります。
~瀬古利彦が茂木くんのモデルと言われる4つの理由~
- 中学時代は野球部に所属してた(茂木くんも元野球部)
- 大学時代 箱根駅伝2区を走破(茂木くんは箱根駅伝5区を走破)
- 実業団でロス五輪に挑むが足の違和感で結果14位(茂木くんは足を痛めて途中棄権)
- 靴を変えて3つの大会で優勝をつかんだ(茂木くんは陸王と出合って再起した)
ランナーのモデルと言われた瀬古利彦は、大学時代に4年連続で箱根駅伝に出場し、「花の2区」を走り、3,4年生のときには区間新記録を樹立します。
大学卒業後もエスビー食品の実業団ランナーとして活躍し、84年のロス五輪に出場したものの、途中で足の違和感を感じてペースダウンしたため結果14位。
その後、アシックスのシューフィッター三村にお願いして負けない新しい靴を開発してもらいました。
新しい靴で出場した瀬古は、ロンドンマラソン、シカゴマラソン、ボストン・マラソンの3つの大会で優勝し、大きな功績を残しました。
このような瀬古の功績を見てると、陸王に登場した茂木くんと重なりますよね。
シルクレイソールは実在するのか?
原作小説では、陸王のソール(靴底)として採用されたシルクレイ。
~シルクレイとは~
シルクレイは、飯山晴之(寺尾聰)が実家のインテリア会社の経営と同時に開発してた特許技術です。
ドラマの1話最後で飯山は、特許使用料として5000万円を「こはぜ屋」に請求しますが、「陸王」の計画に興味を持ち、陸王開発チームに加えることを条件にシルクレイ使用を許可します。
そして、シルクレイを使った新ソール開発に成功します。
念のため「きねや足袋株式会社」も、マラソン足袋の「きねや無敵」を開発した時に、ソールを提供してもらったか調べました。
ですが、「きねや無敵」は足袋の裏面にゴムを貼り付けただけなので、ソール開発は行っていないようです。
アシックスは、ランニングシューズのためにくつ職人三村が、新ソール開発を行ったようです。
なので、シルクレイとその開発者・飯山晴之は、架空の人物だと言えるでしょう。
大手ライバル会社アトランティスのモデルはどこか?
原作小説では、ランニングシューズRⅡを選手に提供し、こはぜ屋に妨害までする大手メーカーのアトランティス。
このアトランティスのモデル会社は、一部ではアシックスと言われてます。
最初の方に記載したように、アシックスは五輪ランナーにランニングシューズを提供するほど影響力が大きい会社です。
なので、アシックスがライバル会社に意地悪してもおかしくないと思う人もいるかもしれません。
しかし、アシックスがライバル会社を蹴落とすような史実は見つかりませんでした。
つまり、ドラマに登場したアトランティスは、池井戸潤が作り出した架空メーカーの可能性が高いと言えます。
ドラマ中の足袋とランニングシューズはどこが製造した?
ドラマ中には、足袋とランニングシューズが多く登場します。
調査したところ、足袋とランニング足袋を製造したメーカーが明らかになりました。
~足袋とシューズの製造メーカー~
- 足袋 岡本製甲株式会社
- ランニング足袋 ミズノ
意外にも、足袋を製作したのはモデル会社だった「きねや足袋」ではなく、岡山県の「岡本製甲株式会社」でした。
岡本製甲では、ランニング足袋を製造している小規模会社です。
さらに、ランニング足袋はミズノが製造してました。
【プロ意識】ミズノ、日曜劇場『陸王』の足袋型シューズを製作へhttps://t.co/4iLLinYYws
「本物の陸上用シューズを製造している会社にお願いしなければ、リアリティーを追求できない」と判断し依頼したという。 pic.twitter.com/IimY3qeU3f
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2017年10月7日
ミズノのランニング足袋は非売品であるものの、全国のミズノ取り扱い店でポスターも掲示されたそうです。
敢えて言うなら、映像のリアリティを追い求めるためと言えども、モデル会社の2社にお願いした方が良いとも感じました。
見えざる何かの力が働いてるのかもしれませんね。
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